これって後置詞!? ドイツ語前置詞の異端者たち

ドイツ語の基本

今回は変わり者、いえ、
とても興味深い使われ方をする前置詞のお話です。

これまで、

2格支配の前置詞
“trotz” ,  “wegen” ,  “(an)statt” ,  “während“

3格支配の前置詞
“aus” , “mit” , ”nach“ , “bei”
”zu“ , “seit” , ”von“ , “vor(時間を表す語と共に)

4格支配の前置詞
“durch”  “für”  “gegen”  “ohne”  “um”  “bis” 

3・4格支配の前置詞
“auf” , “an” , “über” , “unter” , 
“vor
(場所を表す語と共に)” , “hinter” , “in” , “neben” , “zwischen”

と見てきましたが、
前置詞はどれも名詞や代名詞の前に置いて来ました。

《前置詞 + 名詞・代名詞》 

前置詞なのですから、当然と言えば当然な訳ですが…。

ドイツ語ではごく稀に、
前置詞なのに名詞や代名詞の後ろに置かれるものたちがいます

《名詞・代名詞 + 前置詞》

今回はそんな異端な前置詞3つが登場します!

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gegenüber : (英語) opposite : 〜の向かいに、〜と比べて、〜に対して

“gegenüber”は3格支配の前置詞です。
名詞や代名詞の前に置かれるのが普通ですが。

Gegenüber dem letzten Jahr haben wir dieses Jahr viel Regen.
《ゲーゲンユーバァ デム レッツテン ヤァ ハーベンヴィァ ディーゼスヤァ レーゲン.》
Compared to last year, we have a lot of rain this year.
去年と比べて、今年は雨が多い。

しばしば後置され…。

Gegenüber dem Bahnhof ist ein Reisebüro.
Dem Bahnhof gegenüber ist ein Reisebüro.

《ゲーゲンユーバァ デム バーンホッフ イスト アイン ライゼビュロー.
=デム バーンホッフ ゲーゲンユーバァ イスト アイン ライゼビュロー.》
There is a travel agency opposite the train station.
駅の向かいに旅行代理店があります。

さらに、以下の2つのように。

Er sitzt ihr gegenüber.
《エァ ズィッツト イァ ゲーゲンユーバァ.》
He has a seat across from her.
彼は彼女と向かい合って座っている。

Mir gegenüber ist sie immer freundlich (kühl).
《ミァ ゲーゲンユーバァ イスト ズィー イマァ フロイントリッヒ(キュール).》
She is always friendly (cool) towards me.
彼女はいつだってボクに親切だ (冷たい)。

そう!代名詞に対してはもはや必ず!後置されるのです(°▽°)

“gegenüer”はしばしば名詞の後ろに置かれる(後置される)けど、代名詞に対しては必ず後置されるんだね。

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entlang : (英語) along : 〜に沿って

次は“entlang”です。

修飾する名詞の「後」に置かれると → 4格 + endlang
修飾する名詞の「前」に置かれると → entlang + 3格

となります。

Wir gehen die See entlang spazieren.
=Wir gehen entlang der See spazieren.

《ヴィァ ゲーエン ディー ゼー エントランク シュパツィーレン.
=ヴィァ ゲーエン エントランク デァ ゼー シュパツィーレン.》
We walk along the sea.
ボクらは海に沿って歩いてます。

In Frühling blühen viele Kirschblüten den Fluss entlang.
=In Frühling blühen viele Kirschblüten entlang dem Fluss.

《イン フリューリンク
 ブリューエン フィーレ キルシュブルーテン デン フルス エントランク.
=イン フリューリンク
 ブリューエン フィーレ キルシュブリューテン エントランク デム フルス.》
In spring, many cherry blossoms are blooming along the river.
春になって、川沿いに桜の花がたくさん咲いています

~~~
・blühen : (英語) bloom : 花が咲いている
 (blühen ー blühte ー geblüht)

・Kirschblüten → die Kirschblüte の複数形

・die Kirsche : (英語) cherry : さくらんぼ、桜 【複数形】die Kirschen

・die Blüte : (英語) blossom :〔樹木などの〕花 【複数形】die Blüten

 ※「草花の花」は“die Blume (英語 flower) ”

・der Fluss : (英語) river : 川 【複数形】die Flüsse
                        ~~~

nach : 〜に関して言えば、〜によれば

以前、“nach” は3格支配の前置詞として、

Nach Deutschland
To Germany
ドイツへ

の様に方向を表したり

Nach der Schule
After school
学校の後 → 放課後

の様に時間や空間的に「後ろ」を表す意味があることを見てきました。

そんな“nach ” ですが、特殊な使い方をされることがあって、
それは「根拠」や「基準」を述べる時だけは後置されます

3格支配であることには変わりないのですが、例えば、

Meiner Meinung nach ist es wichtig.
《マイナァ マイヌンク ナーハ イスト エス ヴィヒティッヒ.》
In my opinion, it is important.
わたしの考えでは、それは重要だ。

これはもちろん、

Nach meiner Meinung ist es wichtig.

とも言える訳ですが、もはや決まり文句の様になっていて、
ほぼほぼ “meiner Meinung nach ”と言われます。

他にも

nach meiner Vermutung = meiner Vermutung nach
according to my guess
わたしの推測によると

とか

nach der Vorschrift = der Vorschrift nach
according to the regulations
規則によると

など“nach ” が後置される言い方が見られます。

後ろに来る名詞の「格」を支配したり、
動作の有無によって「格」が変わったり、
はたまた名詞を前に出して自分は後ろに引っ込んだり。

ドイツ語の前置詞、
その振る舞いが実に面白い(≧∀≦)

Deutsche Präpositionen sind sehr interessant in ihrem Verhalten.
German prepositions are very interesting in their behavior.

最後に来ました!“in”
“in” は「3・4格支配の前置詞」
今は動きが伴ってないから後ろの名詞は3格。で、

“in ihrem Verhalten“

~~~
・das Verhalten : (英語) behavior : 振る舞い 【複数形】無し
                           ~~~

ピンポーン、大当たり♪

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