宝石界に舞い降りた一輪のバラ、
インカローズ(ロードクロサイト)!
実はとっても繊細で、
「買った時にはピカピカだったのに、
付けてるうちに艶が無くなっちゃって。なんとかなりませんか?」
と、インカローズのブレスレットを持ってご相談に来られる事があります。
そこで今回は宝石研磨士としての経験も踏まえて、
このとびっきり可愛いお姫様の具体的なケアの仕方、
そしてインカローズの意味(石言葉)をご紹介します(^o^)/
インカローズの美しさと効果を保つために
硬い石は成形し難いですが
磨くほどにクッキリピカピカ!艶が良く出ます。
そしてその艶が退化してしまうこともなかなかありません。
一方、柔らかい石は成形し易いのですが、
磨いても磨いてもなかなか艶が出ません。
さらに! 使ってるうちに、
その艶が無くなっちゃうってことも(゚д゚lll)
インカローズ(ロードクロサイト)は、硬度3.5~4。
![](https://nekkonone55.com/wp-content/uploads/2021/01/2327631_s.jpg)
紙ヤスリでもガリガリ加工出来てしまうほど。
とても柔らかい石です。
そのため、磨いても磨いてもボンヤリとした艶。
なかなかピカピカには輝いてくれません(>_<)
また、ヒビがあったりすると、
見栄えも良くありません。
そこで、より美しくしくするために、
『処理』が行われます。
インカローズの場合は、
主に含浸処理、被膜処理、そして着色処理です。
含浸処理
ひび割れや欠けを目立たなくするために、
研磨後にオイルや樹脂を染み込ませる。
被膜処理
研磨後に樹脂などでコーティングして艶を引き出す。
着色処理
色の淡い原石の場合、
染料を染み込ませて赤みを引き立てる。
![](https://nekkonone55.com/wp-content/uploads/2021/01/479404_s.jpg)
インカローズのブレスレット、
長く使っていると艶が無くなっちゃった! ですって?
それは被膜樹脂が取れてしまったり、
細かなキズが表面に付いてしまったためです。
小さなビーズに加工されたインカローズが艶を失った場合、
研磨だけでピカピカに戻すことは至難の業。
どうしても艶を戻したい場合、
次のどちらかの方法が有効です。
① 市販のクリアラッカーを吹き付ける。
紐を通す穴に爪楊枝を挿して固定したものをクルクル回しながら、
ビーズ一粒一粒にクリアラッカーを吹き付けて行きます。
②「ピカール」でよくこする。
ピカールとは自動車やバイク、仏具の金属部分を磨いてピカピカにするヤツ。
ホームセンターなどでも売られています。
ピカールをフェルトなどに付けて、
ビーズ一粒一粒をキュッキュッ磨くと、
傷の具合にもよりますが結構しっかり艶が戻ってきます。
このピカールを使う方法は、
琥珀やラピスラズリなどの柔らかい石の艶出しにも使えます。
美しさの影にあるはかなさ。
インカローズ、
思わず守って上げたくなる~(*≧∀≦*)
インカローズの意味と効果が!
お姫様の可愛い唇みたいな、ほんわかピンク。
見るもの全てを優しく包み込んでくれるインカローズ。
本名はロードクロサイト。
こちらはロードクロサイト(インカローズ)の磨かれた原石です。
![](https://nekkonone55.com/wp-content/uploads/2021/01/f8dd6630d61712d3ed1ba18437c2d765.jpg)
『ロード(Rhodo)』はギリシャ語で『バラ』のこと。
そこに、『色』を意味する『クロム(chrom)』、
『石』を意味する『サイト(site』を合わせたお名前です。
現在のペルーからチリ辺り、
かつてのインカ帝国の支配地域で発見されたロードクロサイト。
層状の原石を研磨するとバラの花の様な紋様が現れることから、
『インカのバラ=インカローズ(Inca rose)』
と呼ばれるようになりました。
デビューは1930年代と、名だたる宝石達と比べて後発組。
宝石舞踏会に遅れてやって来たお姫様も今では宝石界のスターです。
特にアメリカでは、華やかな容姿から人気を集めています。
石の意味は「新しい愛の到来・秘めた情熱・清浄」。
情熱的な恋をもたらし、結婚、そして幸せな結婚生活へ。
まさに『バラ色の人生』へと導いてくれる石。
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疲れた心を癒やたい!
愛も仕事も人生も、もっと前向きに
『情熱的』に生きて行きたい!
そんなときそばにいて力付けてくれる石、
それがインカローズ(ロードクロサイト)です。
インカローズの丸玉に新米鑑別士はビクビク…、あとがき
宝石鑑別士として働き始めた頃、
ラボに持ち込まれた一つの石。
桃色、直径12mm丸玉、無穴。
(ネックレスやブレスレットに編み込むための紐を通す穴が開いていない)
![](https://nekkonone55.com/wp-content/uploads/2021/01/2792848_s.jpg)
インカローズとして仕入れたが、値段が値段。
(売り値40万円を想定)なので宝石鑑別書を付けて販売したいとの事。
まだ駆け出しの鑑別士だったこともありますが、
この石を預かった時の手に汗握る緊張感を未だに覚えています。
宝石鑑別士のもとには、
クライアントから日々様々な石が持ち込まれます。
当然、もっと高価な石たちもやって来るのですが…。
なぜこの桃色の丸玉が印象に残っているのか?
それは、この石が観るからに、
ロードクロサイトだったからです。
透明感のある桃色がたっぷり乗っている!
しかも大抵のロードクロサイトに見られる特有のベーコンみたいな、
桃色の生地と白い縞模様が…無い!
これってやっぱり、じょ・う・も・の(上物)(゜∀゜;)
鑑別士養成学校の学生だった頃、
講師から言われた印象的な言葉。
それは、
「鑑別士は、石を見た目で判断してはいけない。しっかりデータを取って、
それらデータに基づいてあくまでも客観的な結果を導き出しなさい!」
と言う事。
見た目で高級なロードクロサイトと思っちゃって、
ビビってるnobu ☆はすでにダメダメですね~
![](https://nekkonone55.com/wp-content/uploads/2021/01/2973309_s.jpg)
ご存知のように、ロードクロサイトは硬度3.5~4と大変柔らかく、
(ちなみに硬度はダイヤモンド10、水晶7、大理石3)
カッターナイフ(硬度5)で簡単に傷が付きます。
また衝撃にも弱く落とすと割れることも。
そのため、鑑別機器に擦り付けないように〜、
落とさないように〜、ドキドキ!
なんせキズ物にすれば、40万円がパーです。
急がす慌てず、迅速に。
結果は…
やはりロードクロサイト(インカローズ)。
鑑別書を仕上げ、
かのロードクロサイトが自分の手を離れた時には、ホッと一息でした(´∀`)
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